自律神経失調症と私
私が「自律神経失調症」の診断を受けたのは小学校低学年ぐらいだったと思います。さすがに50年も前の記憶は朧気で、時系列も怪しいのですが、確かに自分の”病気”は「ジリツシンケイシッチョウショウ」だと両親が話していたことを覚えています。難しい言葉でしたが、不思議と頭の中にすんなりと入ってきました。
この業界に入って身体や心のメンテナンスの仕方、向き合い方を学び実践しているにもかかわらず、完全に痛みや不調から解放されるには至っておりません。
なぜ、良くならないのか?
何が足りないのか?
私の症状の変遷や取り組みなどを、同じように悩まれている方の参考になればと思いご紹介いたします。
病歴と症状
私の病歴と症状を一覧にしてみました(自律神経失調症とは関係ないものもあります)
幼少期については記憶が朧気なうえ私的なことばかりなので、環境の変化などは記載しておりません。
高校生以降については、発症や消失・改善のきっかけと思われることのみ記載してあります。
ストレス
自律神経失調症の主な原因は「ストレス」
ストレスには精神的なもの以外にも、気候の変化や、身体的なものなどいろいろあります。例えばアトピーによるひどい痒みなども、ストレスの原因(ストレッサー)になります。
自律神経失調症のページでストレスを蛇口から流れる水に、受け止める洗面ボウルは脳、排水システムが自律神経と例えました。
そのイメージに沿って考えると、一つの蛇口からたくさんの水が出るのではなく、いくつもの蛇口はからそれぞれに水が出ていると思っていただければわかりやすいでしょう。
- 勢いよく水の流れる蛇口
- ちょろちょろと、しまりの悪い蛇口
- 壊れて閉まらない蛇口
- 簡単にどかすことができる蛇口
- 閉めたはずなのにすぐに緩む蛇口
- どかそうとしても、重くて動かない蛇口
- 新しく増えた蛇口
洗面ボウルにむけてたくさんの蛇口から水が流れてきます。
ストレスコントロールとは、この蛇口を閉めたり、どかしたりする作業です。
どかせる蛇口はどかす。閉められる蛇口はしっかり締める。
きちんと蛇口を見極めて、適切な処置をほどこす。自分が受け止められる程度に水(ストレス)を抑えること、これが自律神経失調症を改善に導く鍵です。
①一過性、または物理的距離をおくことのできるストレス
例えば、「引っ越しに伴う多忙」は一過性のストレス。すべてが片付けばなくなります。
例えば、「意地悪な友人」は物理的距離をおけるストレス。難しいかもしれませんが、お付き合いをやめればよいのです。
上記一覧の①の部分、これは異動後の職場の人間関係がストレスとなり、発現した症状です。
- 異動後数か月、出勤前に嘔吐するようになる
- 食欲がなくなる
- 逆流性胃腸炎になり、ますます食べられなくなる
- 夜、寝付けなくなる
- 起立性低血圧で倒れる
- 栄養バランスが崩れたせいか足がむずむずしてさらに眠れなくなる
朝、食事を終えるまでは問題ないのですが、身支度を始めると吐いてしまう。
最初は前夜に変なものを食べたかな?とか、風邪をひいたかな?と思う程度でしたが、さすがに毎朝吐くようになり「ストレス」だと気が付きました。
仕事は好きだったし、業務上、2~3年我慢すれば異動になることもわかっていました。なので、なんとかこらえようとしたのですが、身体のほうが持ちこたえられませんでした。このままでは命にかかわると本気で思うほどだったので退職を決意しました。
退職後1週間は完全休養。2週目に派遣で働き始め、3週目からカイロプラクティックの夜学に通い始めました。
- ひと月ほどすると嘔吐せず出勤できるようになり、3か月程度で完全に嘔吐をしなくなりました
- 食欲がもどるのには2年ほどかかりました
開業前には体力をつけねばと食べ過ぎて太ってしまったくらいです - 不眠はなかなか治りませんでした
退職後に仕事と学校の掛け持ちで生活リズムが狂ったこと、さらには開業に伴う多忙や不安などが原因だったと思っています。
開業して生活リズムが整い、さらにその少し前に迎えた愛犬と添寝をするようになったことで徐々に不眠は解消されました - 起立性低血圧は自律神経失調症が原因とも言い切れません。現在は多少立ち眩みがする程度には改善しております。またどのタイミングで起きるかを把握したので、気を付けて行動することで倒れるようなことはありません。
- 足がむずむずするのは、いつの間にか治っていました。
はっきりとした時期を覚えていないのですが、食欲が戻ってきたころには安定していたように思います。
②ペットロスなど、時間を要するストレッサー
親しい人を亡くした時などの心因性のストレスは、わかっていてもどうにもならないものです。
私は3匹の愛犬を看取り、その都度、「ペットロス」と言われる状態に陥っています。
一覧には記載しておりませんが2015年に最初の子を看取り、その5年後、二番目の子(添寝をしていた子)の介護が始まりました。一覧の②のところです。
10か月介護し、看取った時には最初の子の分の悲しみや喪失感、後悔などが一緒になって押し寄せて・・・
介護のためずっと寝ていなかったので、かかりつけ医で睡眠薬を処方していただき、強引に寝ることで生活リズムを立て直しました。(睡眠薬と睡眠障害については後日ブログをアップしたいと思っております)
そのころ、新しく保護犬を迎えたのですが、直後に3番目の子の介護が始まってしまいました。介護生活は8か月ほど、その間はやはり寝ることができません。
看取った後は寂しさや後悔や、悔しさやいろんな感情が次から次へと押し寄せてきます。再び睡眠薬の力を借りて生活リズムは立て直しましたが、舌癖もくいしばりも、もちろん不眠も改善の兆しさえみえません。
こういうものは無理に何とかしようとすればするほど、苦しくなると思うので時が癒してくれるのを待つのが良いのかなと思っています。
- 毎朝遺影に話しかけ
- 何かあると、そこにいるかのように話しかけ
- 思い出にどっぷりつかる
出会えた喜びや、共に過ごせた幸せと温かさが、いつか後悔や寂しさを追いやってくれる日がくるまで
③一番大きなストレッサーをみつける
こうしてみてくると、私はストレスをきちんと認識し、かなりコントロールできていると思うのですが、なぜ長い期間が継続している症状があるのでしょう?
それは最大のストレッサーに対応できていないからです。
カイロプラクティックには心因性の痛みという考え方が、私が学び始めたころすでにありました。(現在では整形外科でも一般的な考え方になっています)
セミナーでそのメソッドを学んだ時、私の最大のストレッサーは「母」であることに気が付きました。
最近では「毒親」という言葉があるようですが、私の母はそれには当てはまりません。女手一つで私たちを育て上げてくれた尊敬できる女性です。もちろん価値観の押し付けもされていません。私も兄も進学、就職、結婚等、好きなようにさせてもらいました。
では「母」のなにが私を苦しくさせるのか?
私が物心つく頃、すでに我が家は不安定な環境でした。
故人を悪く言いたくありませんが、父がポンコツな人だったので・・・
小さな子供の世話をしながら、生活も支えねばならない。
経済的にも、精神的にも、母に余裕はいっさいなかったはずです。
多分、甘えようとする子供を受け止めることもできないほど・・・
そして私はと言えば、幼いなりに母が大変なことを理解していてわがままも言えない。
寂しい。甘えたい。褒められたい。認めてもらいたい。
そんな気持ちに蓋をしなければいけない日々。それは小さな子供には相当な負担だったでしょう。
夜尿症を始め、身体の不調を訴えるようになったのは当然のことだったと思います。ついでに言えば、自律神経失調症は免疫力を低下させるので、発熱しやすかったり、大病を招いてしまったのもそのせいかもしれません。
早いタイミング、せめて小学生くらいまでに、母が私の孤独や甘えに気が付いてくれていたら、少しは違っていたかもしれません。
あるいは私自身がもっとしっかり自立し、親離れをするべきだったかもしれません。(結婚して家を出ていれば良かったのでしょうが、独身のまま今に至ってしまいました)
そうして、母と暮らしながら、環境の変化に応じ症状が発現しては消え。私の気持ちも行ったり来たりを繰り返すうちに、「母」の存在だけが大きくなって、「私の本心」が隠れてしまったのです。何がツラくて、何が苦しいのか、その根元の部分を見失ってしまったのです。
「母」がストレスだと気が付いた日から、それなりにコントロールしようとしてきたのですが、根本を見失った状態ではうまくいくはずがないのです。
何がツラいのか?
どうしたいのか?
自尊心や、世間体
自分をかばいたい気持ち
嫉妬や妬みといった目を背けたい感情
それらに向き合いながら自分の本心を探っていくのです。
大変なのは、核心に触れそうになると具合も悪くなってしまうこと。
それでも自分の心に問い続けるのです。
そうして最近になってやっと、「母の存在」ではなく、「母に対する(幼い)私の気持ち」がストレスなのだと気が付きました。
今さら、子供のように甘えることはできませんし、愛犬達のように「褒めて、褒めて~」と全身で表現することもできません。
かと言って、高齢の母をおいて家を出るのもなかなか難しい。
そんなわけで、やっと最大のストレッサーを見つけ、対応策を考え始めたところです。
なので、偉そうに「〇〇すれば治りますよ!」なんてことは言えません。
うまい打開策を見つけ、症状を緩和させることができたら、ご報告したいと思います。
最後に
この記事が自律神経失調症と長期にわたって戦っていらっしゃる方に少しでも参考になれば幸いです。
ストレッサーを見つけ出すために、私のように症状が出たり消えたりしたタイミングを一覧で作ってみると、自分が見落としていたことに気が付くことがあります。
また、身体のケアも同時進行で進めてください。体調が悪いと物事を悪くとらえやすくなり、余計にストレスがかかります。身体のバランスを整えることは物理的に可能な部分が多いので、適度な運動や規則正しい生活、治療や施術などを受けながら、症状の悪化を防いでください。
一人でも多くの方に、健やかな一日が訪れますように